リハビリや看護などの介助で、大切なことの一つとして…

  リハビリや慢性的な病気を患っている身近な方への介助は、一所懸命に行なえば行なうほど、介助する側が、肉体的あるいは精神的に参ってしまい、結果、介助する方が病気を発症したり、介助する、または介助される側がさらに病気を悪化させることがあります。

 健康についてWHO(世界保健機構)では、『健康とは、疾病がないとか、虚弱でないということではなく、肉体的にも、精神的にも、社会的にも、心身が満たされた状態である』ことを述べています。

 従いまして、私も介助の経験を通して、上記のような介助する、される側の健康が悪化する状況に傾かないように、今一度、介助する側が、自分自身の健康を維持できる手段や環境の改善を考えておくこと大切と思います

 さて、介助する側が最も身体に異常をきたす状態は、ストレスや過労による心身の疲労になります。

 東洋医学の臓腑弁証の観点から端的に述べますと、健康とは、『五臓六腑の働きのバランスが調和した状態』になります。

   ※ 五臓 ⇒ 肝・心・脾・肺・腎

   ※ 六腑 ⇒ 胆・小腸・胃・大腸・膀胱・三焦

 また、ストレスや肉体疲労が身体に影響を与える状態は、東洋医学では、下記のように幾つかの考え方が出きます。

 ①肉体疲労などにより、呼吸器機能に影響を受け、心肺機能が低下して、身体に栄養(血液など)を送れない状態になります。

    肉体疲労 ⇒ 肺気虚 ⇒ 心気虚  ※心肺両虚証

 ②ストレスや肉体疲労などにより、消化器機能が低下、栄養吸収不足になり、身体の機能が低下します。現代医学では、ストレスを最も受けやすい臓器とし、消化器系(胃・小腸・大腸など)があげられます。

  尚、『脾』とは、現代医学の消化器系に相当します。

    ストレス・肉体疲労 ⇒ 脾気虚 ⇒ 心血虚 ※(心脾)気血両虚

 ③精神疲労により消化吸収不足が生じ、身体の栄養(血液など)とされるエネルギー生成が減ること、血液の循環機能が低下します。

    精神疲労など ⇒ 肝気虚 ⇒ 肝血虚 ⇒心血虚 ※(心肝)血虚症

 ④肉体疲労やストレスにより、身体を冷やすラジエーター機能が低下し、身心の異常(不眠や精神不安など)や体温調節の低下、足腰のだるさを発症させます。

    過労やストレス ⇒ 腎陰虚 ⇒ 心火亢進

 ⑤肉体疲労により、身体の循環液(現代医学では、血液やリンパ液などに相当)の停滞が起き、四肢の冷えやむくみが発症し、血行障害を生じさせます。

    肉体疲労 ⇒ 腎陽虚 ⇒ 心陽虚  ※(心腎)陽虚証

 ⑥その他

 

 以上の様に、身体の状態が、いわゆる『未病』(「健康状態」~「病院で病気と診断される状態」の経過の心身の状態)の時に、症状に対する何らかの治療や改善・予防方法を取り入れることが大切になります。

 身体の疲労感やストレス解消には、自律神経の調整や筋肉疲労の改善、血行促進などの効果がある鍼灸治療は、有効な方法になります。当院のホームページ上部の『治療効果』をクリックしていただければ、『治療と回復効果』のグラフで、今後の治療や予防の改善に対する考え方にお役に立かと思います。

 また、日常での改善・予防方法の一つとして、即効性はありませんが、上記の①~⑤のように、循環器系や呼吸器系の働きを改善することは、介助に関わる方の『未病』の改善になりますので、どこでも場所を選ばずに出来る『腹式呼吸法』を行なうことも良いと思います。

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