鍼灸の治療を体験されていないかなり多くの方々が、『鍼(はり)やお灸は、本当に病気に効くのか?』と、疑問に思われています。
結論として、厳密には、現代医学にしても東洋医学にしても、『病気を治す』という考えは、間違いになります。
患者の身体を治すのは、患者自身の再生能力や免疫力などの『生命力』になります。現代医学、東洋医学は、あくまでも『身体を治す手助けを行う医術』です。
では、『現代医学と鍼灸(はり・お灸)の治療目的の違い』を、具体例として『痛みの治療』をあげて、ご説明致します。
現代医学の治療方法は、一般に、臓器・器官・組織などの『物理的なモノに変化を与える』ことで、身体の改善を促します。
変化を与えるのは、内科的治療であれば『薬(くすり)など』、外科的治療であれば『手術や科学的(先端技術)治療など』です。
身体に痛みがあれば、内科的治療は、鎮痛薬により神経伝達物質を調整して、痛みを軽減させます。腫瘍などから来る痛みでは、手術などの外科的手術で、組織などの排除により、身体の回復を促します。
一方、鍼灸の治療方法は、身体の臓器・器官・組織などの『働き(動き)に変化を与える』ことで、身体の機能を促進させます。
具体的には、鍼(はり)やお灸(きゅう)の痛みや熱さを用い、身体の神経や皮膚などの組織に刺激を与え、『痛みの治療』であれば、人間の身体の中に存在する鎮痛物質を促し、あるいは、鍼やお灸の刺激で血管拡張を促して、組織の血流を上げて、痛みの軽減を行います。
また、鍼やお灸の作用で、自律神経の副交感神経を高めることで、『免疫』、『ホルモン』、『自律神経』 の3要素のバランスの調整を促して、身体の回復に貢献できます。
冒頭の『鍼(はり)』や『お灸』は、効くの?については、身体の状態(発症してからの経緯の長さ)や症状の強さによりますが、身体を改善させる方法として、効果はあります。
更に鍼灸は、東洋医学の観点から、予防医学として、大変有効な手段でもあります。
東洋医学では、病気の原因は、『内因(過度の感情)』、『外因(過度の気候条件)』、『不内外因(内因でも外因でもない食事や労働、運動、外傷など)』の3要素からと考えます。
この3要素を改善や予防をすることで、病気になりにくい身体に変化することが出来ます。
また、東洋医学では、病気の性質は、大きく『標(ひょう)=現在の症状』と『本(ほん)=標の根本的な原因』の2つに分類できます。
現代医学は主に、『標』の治療になります。
東洋医学では、『標』と『本』の治療を行うことが出来ます。そのためには、問診などの四診(望診・聞診・問診・切診)を十分に行う必要があります。
一般に『肩こり』と呼ばれる症状は、鍼灸治療の前と後では、明らかに変化が改善していることを感じ取れる事ができる疾患の一つです。
一度は、鍼灸治療の体験をして頂くと、これからのご本人の健康管理の改善方法の選択肢の一つとして、増えることになるでしょう。