現代医学と東洋医学の併用の一例

前回、看護師が東洋医学の知識を得ることのメリットを述べましたが、実際、どのように、現代医学に東洋医学が併用できるのかという一例です。

呼吸器疾患で、市販の薬や病院での医師の処方により、抗生物質が効かない、高熱が下がらないということが多々あります。

当然、この状態が長く続くと、体力が消耗し、命に関わる状態になってしまいます。

東洋医学の鍼灸では、『ツボは効くものではなく、効かせるものである』という言葉があります。漠然と使用しても効かないツボでも、使う側の手技次第で、治療効果が期待できるツボに変化させるという考えです。

上記のように、医師により呼吸器疾患で診断された処方された薬で、『熱が下がらない』、あるいは『症状が緩和しない』という時は、東洋医学が有用です。

現代医学に『薬は効かせるもの』という考え方があるか分かりませんが、『処方された薬が効かない』ということは、薬を効かせる条件が満たしていないから、治療効果が得られないという考え方が出来ます。

例えば、自動車にエンジンを冷やすラジエーターという機能があります。ラジエーターはラジエーター液をファン(扇)で冷やし、その液体を循環させることでエンジンを冷やします。しかし、液体が無かったり、ファンが動かないなど、一部の機能を失うだけで、本来の働きを出せないという状況が生まれます。

人間の身体も同様に、健康を失った時は、一部の臓器や器官だけでなく、その周辺の身体の働きを向上させることで、より一層回復に繋がることになります。

従いまして、東洋医学の観点から、患者の身体の状態を、薬を効かせる状態にする治療を施すことで、回復の方向に導かせます。

また、現代医学では、『肺』とは臓器そのもの指します。

一方、東洋医学の五臓六腑としての『肺』とは、臓器そのものを指すのではなく、肺の働き、いわゆる『呼吸器系の機能を含めた働き』を指します。

 

実際、上記(冒頭から2文目)の場合は、以下の点を考慮した治療方針で、身体の回復を促します。

◇先ずは、高熱が長く続いている場合は、熱を下げ、体力の消耗を抑えます。

◇東洋医学では、熱の原因は、呼吸器系や消化器系などから影響を受けると考えます。

◇高熱が続き風邪症状があり、現代医学の血液検査や尿検査などで、腎臓や膀胱などに異常がない場合は、『肺熱』ということがより明確に判断できます。

◇そこで、鍼灸では、『肺経』のツボの中で、熱を下げる効果のツボを選んで、施術します。

症状が長引いた場合には、五臓六腑の『腎』あるいは『脾』の作用が低下していますので、生命力、免疫力を上げるために、これらの作用を補う施術を行います。

 

上記のように、現代医学と東洋医学は、いずれか一方だけでなく、両方の利点をうまく利用することで、より一層の効果が得られることが考えることが出来ます。

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