老廃物とミトコンドリア

人体には60兆の細胞があります。

細胞は、グルコース(ブドウ糖)を取り入れ、酸素を用いて、二酸化炭素と水を放出します。この過程で、生体エネルギーであるATP(アデノシン三リン酸)を産生します。このATPを産生するものが、高校生の生物の教科書にも掲載されている『ミトコンドリア』です。

ミトコンドリアは、ATPを生成する時に熱も産生しますが、機能が低下すると、活性酸素を生成させます。例えると、木材などを燃やすと炎が出ますが、良く燃えないと不完全燃焼を起こし黒い煙が増します。この煙が『活性酸素』に当たります。

人間は、呼吸することで一定の『活性酸素』を発生させますが、そのほかに、ストレス、紫外線、飲酒、喫煙などが原因でも『活性酸素』を発生させます。

また、老化の原因のひとつには、『活性酸素』が原因と言われています。『活性酸素』は、体内の細胞を酸化し破壊し、皮膚のたるみ、癌、動脈硬化などの原因を発生させます。

よって、『アンチエイジング(老化予防・抑止)』には、細胞の活性化が大切になります。身体が元気な状態であれば、『活性酸素』を発生しにくい状態になる訳です。それと同時に、身体の働きに不要になった物質『老廃物』を、呼吸、排便、排尿、発汗の生理作用で、身体の外へ排泄させることが大切になります。

東洋医学での健康維持の鍵として、①気血津液(血液や体液など)をスムーズに流れる環境、②身体の中の各々の臓器の円滑な働き、③寒熱(身体の適度な温かさ)があげられます。

まず、①についての説明です。身体全体に栄養を運ぶものは、カラダの中の血液あるいは体液などになります。それらの流れが滞ると、その行く先の身体の部位に栄養が届かなくなり、結果その細胞は衰えていきます。また、身体にとって不要なモノ(老廃物など)は、血液やリンパ液などで運ばれ、排泄されます。これも流れが滞ると、身体の内部に蓄積してカラダに悪影響与えます。カラダに流れる物質がスムーズに流れることが健康につながります

②についての説明は、東洋医学には、五臓(肝・心・脾・肺・腎)六腑(胆・小腸・胃・大腸・膀胱・三焦)の働きがバランスよく保たれていることが健康である事の1つと考えます。いわゆる内臓の働きが順調に働くことが健康というわけです。

そして、③においては、身体の各部位の表面(皮膚)の温度及び身体の中の温度が、適切な温度であることが、健康のバロメーターになるということです。

話は戻りますが、ミトコンドリアの特徴は、飽食状態であると、働きが鈍くなるといわれます。従いまして、ミトコンドリアの働きを上げるには、程度の空腹を与えることが、よりカラダの生命エネルギーが上がり、健康的な身体にしていくことになります。また、このことはエネルギー消費も上がり、ダイエットにもつながります

これと似たように、神経の特徴も、適度の刺激を与えないと働きが鈍くなります。この場合も、神経細胞のミトコンドリアが影響を与えているのだろうと考えられます。

筋肉には、白筋(瞬発力のある筋肉)と赤筋(持久力がある筋肉)の2つがあり、近海の魚(ヒラメやキスなど)は白筋が多く、遠洋の魚(マグロなど)は、赤筋が多く含まれます。

そして、ミトコンドリアが多く含む筋肉は、持久力があり、また身体を支える筋肉でもある『赤筋』です。一般に、男性は白筋が多く、女性は赤筋が多いです。このことから、女性が男性よりも長生きする理由の1つとして、ミトコンドリアの量が影響しているのでは?と言われています。

よって、赤筋を増やす事が、『アンチエイジング』に効果を上げる方法になります。つまり、有酸素運動で赤筋の筋肉を増やし、適度の『空腹の時間』を作ることが、健康につながることになります。

そして、『ミトコンドリアの働きを活性化する』ことで、上記の①~③という健康の条件を、改善あるいは維持することができることになります。 

ミトコンドリアは、東洋医学の視点から考察すると、『気を産生する物質』と考えます。

 

一般に、現代(西洋)医学と東洋医学は、全く関係のない学問と思われがちですが、実は、現代医学は、遥か数千年前~現代に及ぶ時間を経て伝えられてきた東洋医学を、現代医学の発展を用いて証明させている学問と考えることができます

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