東洋医学では、健康とは、『陰陽・五行論』などの考えで、『五臓六腑』や『気血津液(≒現代医学では、血液や体液になど)』などのバランスが調和している状態です。
しかし、人は、生活を送ることで、周囲の環境や身体の衰えの影響より、さまざまな身体の異常が発生します。いわゆる、東洋医学では、『陰陽気血のバランス』が失調した悪化状態です。
鍼灸では、『五行論』において、美容と健康に関する皮膚や筋肉に関わる主な五臓は、『肝・脾・腎』です。端的に述べるなら、栄養吸収には『脾』、血流に関しては『肝』、潤いには『腎』が関わってきます。
下記の様に、現代医学の『解剖・生理』を用いて、東洋医学の考えと比較すると、解釈しやすいかも知れません。
私たちの身体には、骨を中心に筋肉や皮膚などがあることで、人間という生物として立体的に維持されています。
この身体の形成に必要不可欠なものとして、『靱帯』があります。
『靱帯』は、「骨と骨」や「身体の組織(皮膚)」などをつなぐ役目を持っています。この『靱帯』が損傷又は劣化すると、身体を一定の体形や健康を損ねるまたはたるみの原因になります。
巷(ちまた)で色々な病気の原因で挙げられる『歪(ゆが)み』や、美容の面では皮膚やバスト(乳房)などの体形の維持に、『靱帯』が大きく関係しています。
『靱帯』は、強靭な繊維性結合組織(細胞の集まり)で、主にタンパク質で形成され、栄養血管が極めて乏しく、損傷すると再生は困難で、運動機能障害や体形を崩す原因になります。
繊維性結合組織は、『密性結合組織』と『粗性結合組織』に分けられます。
◇密性結合組織 ⇒ 靱帯や腱を形成します。
◇粗性結合組織 ⇒ 器官や上皮を保持します。
また、これら2つの違いは、3つの成分『膠原繊維』・『細網繊維』・『弾性繊維』の比重によります。
▽膠原繊維
主成分 ⇒ コラーゲンタンパク
太さ ⇒ 2~12μm
特徴 ⇒ 引っ張る力に対して強い力を発揮します。
▽細網繊維
主成分 ⇒ 膠原繊維と同じ
特徴 ⇒ リンパ器官(胸腺、リンパ節、脾臓、骨髄など)に存在
▽弾性繊維
主成分 ⇒ エラスチン(タンパク質) ※減少により『シワ』の原因になります。
太さ ⇒ 0.2~1μm
特徴 ⇒ ゴムのように弾性力に富む繊維で、引っ張ると2倍ほど伸びます。
※皮膚や腱、靱帯、血管壁など伸縮性の必要な器官に多く含まれています。
では、実際、身体で機能している『靱帯』は、下記の身体の部分で使われています。
◇大きな運動器(膝・肘・肩など)の関節部位
⇒ 骨と骨を結合し、一定の運動を制限します。
◇小さな運動器(目など)の部位
⇒ 筋肉や腱などを結合します。
◇骨盤腔
⇒ 鼡径靱帯などにより、下腹部の内臓や器官などの保護や体形維持を行なっています。
◇皮膚
⇒ 膠原繊維(コラーゲン)を弾性繊維(エラスチン)で束ねて、皮膚の弾力を保たせています。
◇バスト(乳房)
⇒ 大胸筋、クーパー靱帯、皮膚で支持されています。
美容面では、『皮膚の弾力性』に大きく関わるのが、弾性繊維の主成分『エラスチン』というタンパク質です。
エラスチンなどのタンパク質は、睡眠中に再生するといわれてますので、睡眠不足や夜更かしは、皮膚の劣化(皮膚の潤い)に大きく影響を及ぼします。(※東洋医学では、生活などの不摂生は、病気の原因の不内外因に位置づけられます。)
『靱帯』は、バランスの良い食事を摂り【脾】、適度のストレッチや温熱により血行を良くし【肝】、栄養を与え【肝・腎】、『靱帯』が伸びすぎないように、身体に充分合った器具や服装などで補強し、規則正しい生活【不内外因の改善】が大切です。