アンチエイジングとは、加齢していくことを遅らせることを意味します。人間の身体は、年をとるごとに色々と変化し、肌の表面には、シワやシミが現れてきます。
老化の原因のひとつには、『活性酸素』と言われています。『活性酸素』は、体内の細胞を酸化し破壊し、皮膚のたるみ、癌、動脈硬化などの原因を発生させます。
人間は、呼吸することで一定の『活性酸素』を発生させます。そのほかに、ストレス、紫外線、飲酒、喫煙などが原因でも『活性酸素』を発生させます。
では、東洋医学(中医学)の視点からは、どのように『アンチエイジング』を行なっていくのでしょうか。
『更年』という言葉があります。『更年』とは、女は7年、男は8年という人生の周期の時期をいいます。約2千年前に中国で書かれた医学書、黄帝内径(こうていだいけい)に以下のことが掲載されています。
『女性は7歳でエネルギーが充実しはじめ、14歳ごろに生理が始まり、妊娠可能になり、21歳で身体が充実してきて、28歳でもっとも盛んな時期をむかえ、35歳頃からだんだん下り坂になって48歳で閉経を迎えます。
男性は、8歳でエネルギーが充実し、16歳で生殖能力をもち、24歳で身体が充実、32歳ごろに最も盛んな頃を迎え、40歳になると下り坂になって、48歳から56歳ごろに生殖能力、エネルギーの衰えが著しくなる』、という考え方です。
古代と現代との生活環境は、大きく異なりますが、人体の成長の変化は、昔とは大きな差はありません。
これらについて現代医学では、ホルモンの影響で変化する時期になります。
約2千年昔に、このようなことが考えられ、数千年に及ぶ患者に接して診察・治療を行った情報を蓄積した学問が、東洋医学です。
そして、東洋医学(はり・お灸・マッサージ・漢方等)の有用性について、世間で良く流行する単品ダイエットなどのほとんどは、短期的に活用されなくなりますが、数千年経った今でも『鍼(はり)』・『お灸』・『あん摩・マッサージ』・『漢方』が活用されるということは、歴史的視点からも、効果のある治療・予防・健康増進の手段として有効であることが、証明されていると思います。
また、東洋医学(中医学)では、病気は、大きく分けて3つの原因から発症していると考えます。
①内因 ⇒ 過度の情志(怒・喜・思・憂・悲・驚・恐)
②外因 ⇒ 身体の周囲の環境(風・寒・暑・湿・燥・火)、ウィルス・細菌などの感染性や流行性のモノ
③不内外因 ⇒ 過度の生活環境(労働・心労・房事・休息・飲酒・食事・不眠)、外傷、偏食など
『東洋医学的アンチエイジング』は、病気になる前(病院の検査・診断に該当しない状態)の『未病』の時に行なうことが、老化防止になります。
以上のことを踏まえて、日常性での『東洋医学的アンチエイジング』は、次の事に注意を払うと良いです。
①より ⇒ 強いストレスを持たない、あるいはストレスを解消させる生活をする。
例)身体に負担の掛からない程度の年代に合ったスポーツ・運動、気の合った人との会話、森林浴など。
②より ⇒ 周囲の環境に合わせて、周囲の気象条件から身体を守るあるいは予防の体調管理を行なう。
※若い時に比べ、身体が変化していることを認識し、その時の年齢に合った健康管理を行なう。
③より ⇒ 規則正しい生活、生活環境の見直しを定期的に行なう。
このように、『アンチエイジング』は、日常的に特別なことをしなければ出来ないことではありません。
仕事や生活、娯楽、スポーツなどに対する義務感や誘惑などを継続的に行なうことで、『自分では治癒できない』あるいは『身体を元の状態に戻しきれない』状態になった時は、外からの刺激による身体のケア(医療的治療・マッサージなど)が必要になります。これを怠ってしまうと、『老化』あるいは『病気の発症』に推移していきます。
『飲酒』を例にあげて、東洋医学的に説明します。
お酒を飲みますと、利尿作用が働き、喉が渇いていきます。喉が渇くことで、身体の水分が減ります。水分を欲するので、さらにお酒を飲みます。そして、次第に身体の内部に潤いがなくなり、消化器機能の低下により、五臓六腑の『胃』に熱がたまります。『胃熱』により、皮膚に吹き出物が出やすくなります。また、水分は喉の渇きは潤しますが、吸収した水分は、身体を冷さなければならないところには補充されず、重力の関係で下半身に溜まっていきます。あるいは、飲酒後、睡眠したあとは、顔にむくみが起きます。運動をしない生活を行なっていれば、水分(血液など)の循環が悪くなり、『むくみ』が起こります。手足の『むくみ』は、『冷え性』を生じさせます。
このような『むくみ』の状態になった場合、鍼灸治療では、『清熱利湿』の治療を行ないます。さらに、当治療院では、生活指導も行ないます。
※ 『清熱』 ⇒ 体内の熱を冷ますこと。
※ 『利湿』 ⇒ 余分な水分を排出し、胃腸の調整を行い、体内の水分バランスを整えること。
実際には、『むくみ』の原因は、上記以外の色々な条件を伴って発症します。治療方法も、人それぞれ体格も生活習慣も異なりますので、患者さんに対する治療法も各々変わります。
体内のホルモンや内臓の調整には、自律神経(交感神経・副交感神経)が非常に関係しています。
鍼灸治療は、『神経(感覚神経・運動神経など)』への刺激より、自律神経などの調整に有効な治療法です。
これから寒い季節を迎え、より一層『冷え性』の方を悩ます時期になります。
『お灸』を体験したことがない方は、一度は『温灸』という心地よく温かい『お灸』を試されるとよいです。
温かいお灸『温灸』は、身体の内部を温めて、自律神経の副交感神経を高め、身体の内部の調整を行ない、慢性的な冷え症の改善には、有効な治療方法のひとつです。