日常生活における『心の病』に対する認識と東洋医学での治療方針

昭和初期以前の生活では、現在のような通信技術進歩による情報の拡大、機械の発達による医療技術の進歩の世界とは異なり、迷信や言い伝えなど、目に見えないものが、比較的人々に信じられ、伝えられていました。

 

現代では、目に見えない実体化されないもの、科学的証明できないもの、客観的データが取れないものは、日常生活では、なかなか人々には受け入れ難い世の中になっています。

 

医学界でも、西洋医学は客観的に見える情報を主体に、治療が行なわれますが、東洋医学では、『気』・『経絡』など、現代の科学では証明できないものを含めた思想で、患者さんの症状・生活状況などを考慮しながら治療にあたります。

 

また下記の医学界の時代背景の影響により、社会生活から東洋医学が、次第に認識されなくなった原因の一つでもあります。

 

   ◇      江戸時代まで、東洋医学(鍼灸・按摩・漢方医学)が主体。

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   ◇      江戸時代末期になると、蘭方医学(オランダ(西洋)医学)が次第に普及し始める。

       ※テレビドラマ『JIN-仁』の時代背景がこの頃になり、医学の大きな変化の兆しが出始める時代です。

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   ◇ 明治維新後、政府が西洋医学の導入を基本としたことで、明治中期まで東洋医学が衰退してゆく。

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   ◇ 明治末期に再び、東洋医学が普及し始める。

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   ◇      第二次大戦直後、日本はGHQの占領下に置かれ、鍼灸治療は、非科学的治療ということで、鍼灸は一時施術禁止になる。

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   ◇ 昭和22年「あん摩、はり、きゅう、柔道整復等営業法」が制定。

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   ◇ 昭和26年「あん摩師、はり師、きゅう師及び柔道整復師法」に改正し、現在に至る。

 

ところで、『心の病』は、数値として見えますか?

 

現代医学では、神経伝達物質や体内ホルモンの増減によって、『心の病』を証明していますが、日常生活では、このようなホルモンなどの物質は実際に目に見えるものではないので、『心の病』に理解のない医師、一般社会で『心の病』を経験したことがない方々は、『歳のせいですよ!』あるいは『気のせいですよ!』とおっしゃる場合があると思います。

 

また、病院の検査では何も異常がないという方は、『自律神経失調症』や『更年期障害』などの病名が付く傾向になります。

 

東洋医学では、『病』は、『内因』・『外因』・『不内外因』から起こることを基本として考えています。

 

したがって、病気の原因を探る為の問診では、患者さんの症状は勿論のこと、内因(七情)という過度の感情(怒・喜・思・憂・悲・恐・驚)などを考慮して、診察に当たります。

 

鍼灸を含め、東洋医学は、『心の病』において、症状の度合いにより治療期間は異なりますが、良い効果が得られる治療法です。

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