鍼灸(東洋医学)の視点からの『新コロナウイルス』への対応策②

※前回のブログ『鍼灸(東洋医学)の視点からの『新コロナウイルス』への対応策①』の続き
新型コロナに対する『病因の不内外因』以外の予防策として、健康な身体を作るには、東洋医学の視点からは、下記の項目があげられます。
♥1『病因』⇒『内因(過度な感情)・外因(生活環境における過度な温度変化など)』にアプローチをかける予防
♥2『臓腑学説』など⇒身体の内部(五臓六腑など)の働きの向上
しかし、上記♥印の2項目を実現する手段を伝えても、全ての方々の生活行動や性格が異なっていますので、実際には実現できない場合を伴うと思われます。
ということで、先ずは、上記♥の2項目をご理解して頂くことが、一人ひとり異なった生活での予防策へとつながると考えます。
♥1について
『内因』については、『七情』とも呼ばれ、怒・喜・悲・憂・恐・驚・思の過度な感情の変化により、病気になると考えます。
いわゆる、世間一般に言われている『ストレス』に当たります
これについての実際の生活での対処例は、下記の通りです。
★質の高い睡眠をとること
★ストレスをためない
★適度な運動
★栄養バランスの良い食事
★電話などの機具の利用による接触感染を避けての人との会話
★人との物理的距離間の維持を伴った会話
★趣味
★森林浴 など
『外因』については、『六淫』とも呼ばれ、風・暑・湿・火(熱)・燥・寒のように、過度な環境の変化を受けると病気になると考えます。
つまり、『外因』の予防は、現代医学に置き換えると、生活環境に応じた体調管理を行うことで、免疫力の低下を防ぐことになります。
★エアコンによる室内の温度管理/「暑・火(熱)・寒」への対策
★室内の適度な湿度管理/「風・燥・湿」への対策
★適度な水分の摂取/「六淫」への対応 など
♥2について

五臓六腑とは、現代医学のように臓器そのモノを指しているのではなく、身体の内部の働きを指しています。

◇五臓⇒肝・心・脾・肺・腎
※現代医学の肝臓や心臓・脾臓・肺・腎臓の臓器自体を指すものではありません。
肝⇒現代医学の血液・循環器系の働きに相当
心⇒現代医学の脳・心臓・神経系の働きに相当
脾⇒現代医学の消化器系に相当
肺⇒現代医学の呼吸器に相当
腎⇒生殖器・遺伝・泌尿器系に相当
◇六腑⇒胆・小腸・大腸・膀胱・胃・三焦
※腑とは袋という意味を指し、三焦は、現代医学のリンパ系に相当
従って、健康な身体づくりとは、五臓六腑の働きが、バランスよく調和されることになります。
実際に、重症化している多くの症状は、肺炎などの呼吸器系異常と生命力が落ちている高齢者が、統計的に高くなっています。

現状の患者数からもお分かりになるように、特に、今回の新型コロナ対策として重要な五臓は、『肺』と『腎』になります。

東洋医学では、『肺』の働きは、現代医学での呼吸機能(酸素を吸って、二酸化炭素を出す)ほかに、『宣発』と『粛降』という作用があります。
現代医学の事柄を使ってご説明致しますと、外気(=清気≒酸素)を身体に取り入れて、身体の全身に、衛気(身体を守る気≒酸素)や津液(リンパ液や体液などの水分)を送り、また営気(=血にある気≒血液)により身体に栄養分や潤いを与えて、身体の防衛作用を行なうことです。

つまり、現代的には、『肺』とは、『身体のバリア(防衛)機能』に当たります。

従って、身体の『肺』の機能が低下すると、皮膚や粘膜などに潤いがなくなり、感染症のリスクが高まります。
新型コロナウイルス感染を防ぐためには、『肺』の機能を高めることが重要になります。
続いて、『腎』の働きは、更に宗気(≒酸素)を取り入れるための生命に必要なのエネルギー(納気≒酸素)を蓄え、不必要な水分は排泄し、成長・発育・生殖に深く関わり、生命活動の源となります。
また、『肺』への水分を供給する作用があります。
東洋医学的視点から、今回の新型コロナの感染による重病者は、生命力が落ちた(腎虚)高齢者や、持病を患っている(腎虚)方、あるいは、バリア機能が低下している呼吸器疾患者が多いと感じます。

 

よって、東洋医学での『肺』と『腎』の働きを高める生活を送ると、感染後の症状軽減につながると考えます。

 

では実際に、『肺』と『腎』を高める生活の改善例をあげてみました。
◇『肺』の働きを高める生活
★適度に水分を補給したり、マスクをして、喉や口、鼻の乾燥を防ぐ(粘膜の保護)/バリア機能向上
★のど飴をなめたり、加湿器を使って、効果的に、喉や口を乾燥させないようにすること(粘膜の保護)/バリア機能向上
★適度な運動/心肺機能を高め、酸素の供給量を増やす
★パソコンやスマホ、ゲームをする時間の短縮/姿勢悪化の改善による酸素供給量増加
★肩こりの改善/姿勢悪化の改善により、上半身の筋肉(呼吸筋)の運動量を増やすことで、心肺機能を高める
★その他

 

 

◇『腎』の働きを高める生活
★質の高い睡眠をとること
★ストレスをためない
★腹式呼吸
★栄養バランスの良い食事(※『脾』の作用で栄養を吸収し、『腎』に栄養(腎精・腎気)が蓄えられ、『肺』の作用で全身に栄養が送られる)
★長時間の立ち仕事の回避
★腰痛の改善
★むくみ解消
★その他

 

現時点では、治療方法が確立していない環境で、新型コロナ対策としてできることは、免疫力をあげ、感染した場合に備えて、治癒力を高める生活が必要です。

 

尚、治癒力や免疫力を上げる語句を、あげてみました。ご参考までに。

現代医学(西洋医学)⇒自律神経系・免疫系・内分泌系(ホルモン)

東洋医学(鍼灸・漢方)⇒陰陽学説・臓腑学説・五行論・病因・気血学説

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鍼灸(東洋医学)の視点からの『新コロナウイルス』への対応策①

現在、新型コロナウイルスの影響で、日常生活が脅かされています。
現代医学では、まだまだこのウイルスの実態が明確になっていない状況です。
新型コロナの実態と治療方法等が確立していないのであれば、今実現できることを行なうことが望ましいと考えます。
フグの毒や、致死率100%の劇薬とは違い、必ずしも新型コロナの致死率は100%ではありません。
人間には、正常な身体の機能が働いていれば、身体に悪影響を及ぼす物質は、基本的には排除する機能が働きます。

この作用である『免疫力を高める』作用を向上・維持できると、万が一、新型コロナ感染した場合、症状軽減につながることでしょう。

 

一般に、現代医学(西洋医学)と東洋医学の大きな違いは、
◇現代医学⇒基本的に、治療効果が発揮するタイミングは、発病後
◇東洋医学⇒発病後の治療には当然効果があり、健康な状態~発病に至るまでの期間も治療効果は有効
になります。
つまり、治療開始は、
◇現代医学⇒症状が発症してから
◇東洋医学⇒健康な状態から身体の変化が生じてから
になります。
よって、東洋医学では、発病する要因(リスク)を軽減するという予防の考え方ができます。
これについては、当院ホームページ画面の上部のダグ 治療効果 の『治療と回復効果のグラフ』をご覧になると、分かりやすいかと思います。

 

また、東洋医学では、病気の原因は「病因」であり、「内因・外因・不内外因」に大きく分類します。
「病因」については、当院ブログ2018.08.30掲載 なぜ病気になるの・・・/原因は・・・|東洋医学の視点から をご覧下さい。
鍼灸の治療効果については、『自律神経やその他神経系に関わる症状』と『血液の増減に関わる症状』に特に有効です。
詳しくは、当院ブログ2017.01.07掲載の『鍼(はり)』や『お灸』は、効くの?≪現代医学と鍼灸の治療目的の違い≫ をご覧ください。
そして、東洋医学の『臓腑学説』視点から、健康とは、五臓六腑及び、その他身体の中の働きがバランスよく働いていることになります。
『臓腑学説』については、当院ブログ2017.09.02掲載の 東洋医学の理解度が上がれば、健康になれる!をご覧下さい。

つまり、『病因』を限りなく無くし、身体の働きをより高めることが、新型コロナ対策になります。

まずは、現在、一般的に予防策として公表していることを、東洋医学の事柄に分類してみますと、
♠集団感染の共通点「3つの密」を行わない
1.換気の悪い密閉空間
2.多数が集まる密集場所
3.間近で会話や発生をする密接場面
については、『病因』⇒『不内外因』に当たります。
♠咳エチケット(マスク着用)やこまめな換気をする
については、『病因』⇒『不内外因』に当たります。
♠風邪の症状や37.5℃以上の発熱が4日以上続いている
♠強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)がある
♠先行して急に「におい」の異常(嗅覚障害)や「あじ」の異常(味覚障害)を自覚
♠鼻詰まりや鼻水、頭痛、痰や血痰、下痢
♠心臓、肺、腎臓に持病のある方、糖尿病の方、免疫の低下した方、 妊婦の方などが感染者のお世話をするのを避ける
♠新型コロナウイルス感染症の感染経路である飛沫感染と接触感染を避ける
以上の6項目への接触を行わない行動は、すべて、『病因』⇒『不内外因』に当たります。
♠流水と石鹸による手洗いを頻回に行いましょう。
♠特に外出した後や咳をした後、口や鼻、目等に触る前には手洗いを徹底しましょう
この2項目も、『病因』⇒『不内外因』に当たります。
ということで、ちまたで実際に行われている大半のことは、東洋医学の『不内外因』の予防に当たります。
つまり、上記の予防方法だけでは、感染しないための予防策であり、いざ新型コロナに罹った場合には、症状が悪化すると考えられます。
現在、感染の収束の時期が明確になっていない状況なので、これからは、新型コロナに罹らない環境だけを作るだけでなく、一歩先の『感染しても症状を軽減させるカラダ作り』が必要と考えます。
では、健康な身体を作るには、何が必要かと言うと、東洋医学の視点からは、下記の項目があげられます。
♥『病因』⇒『内因・外因』への予防
♥『臓腑学説』など⇒身体の内部(五臓六腑など)の働きの向上

この♥印の2項目については、次回の当院ブログ『鍼灸(東洋医学)の視点からの『新コロナウイルス』への対応策②をご覧下さい。