『気』とは?

 鍼灸師の方が、患者さんや鍼灸師同士の会話で、『気の流れを調整する』、『気を廻らす』、『気を高める』などの言葉を使っている事を、時々耳にします。『気』について調べると、『生命エネルギー』のことをいいます。正直言って、現代の一般の人たちには、不可解な言葉であり、すんなり納得できない表現と思います。実際に『気』とは、目に見えるものではなく、実態がつかめないモノだからです。

 また、鍼灸治療が普及しない原因として、現代医学のインフォームドコンセントの観点から、鍼灸師の方々が、理解し難い古人の使っていた言葉を、現代の人々にそのまま伝えるということで、現代に合った表現に変える努力をしなかったことが普及しない一つの原因と考えられます。

 これから鍼灸治療を広めていくには、このような現代の人たちにも理解できるような説明や表現方法を見直していく必要性があると考えます。

 

 東洋医学の『陰陽論』の考えで、下記に示すように、相反する『陰』と『陽』が、相互関係を維持することで、自然界(身体)のバランスをとっているという考え方があります。

  【陰】⇒ 下、内、夜、女、老、内側、裏、胸腹、下部、五臓、寒冷、慢性、暗、静、血、津液、液体

  【陽】⇒ 上、外、昼、男、幼、外側、表、脊背、上部、六腑、温熱、急性、明、動、気、気体

 

上記の陰陽論から、『気』の性質は、【陽】のグループに属し、温かく、機敏で、動きがあるイメージが出来ると思います。

 また、『気』の作用には、下記の作用があります。

    温煦作用・推動作用・気化作用・固摂作用・防御作用

 

 さて、現代医学には、生体の機能とそのメカニズムを解明する『生理学』という学問があります。この生理学を活用して、『気』についてご説明します。

 身体の仕組みでは、食べ物は、口から入って、食道 ⇒ 胃 ⇒ 小腸 ⇒ 大腸 ⇒ 肛門(膀胱) の順に動いていきます。この過程で、食べ物は、下記のように色々な臓器でさまざまな栄養素に分解されます。

  胃 ⇒ アルコール

  小腸 ⇒ 水分、電解質(Na、K、Ca、Mgなど)、糖質、蛋白質、脂質、ビタミン(A、D、E、K、B1、B2、Cなど)…

  大腸 ⇒ 水分など

 そして、栄養素は摂取したままの形では身体の中に吸収されないので、下記のような消化酵素によって適度に分解され、各臓器から吸収されます。

  口 ⇒ 唾液

  胃 ⇒ 胃液

  膵臓 ⇒ 膵液

     小腸 ⇒ 腸液

 このような食べ物を様々な成分に変化させる働きが、東洋医学の『気』に相当します。

 また、その他の臓器には、下記のような働きがあります。

    腎臓 ⇒ 水分・電解質の調節、体液pHの調節、ホルモンの産生や調節、代謝産物の排泄

    肝臓 ⇒ 腸で吸収された物質を合成・貯蔵、薬物や毒物の解毒など

    血管 ⇒ 全身に栄養素や白血球などを運搬する

 このように、様々な臓器で行なわれる働きが、東洋医学の『気』の作用に相当します。

 従いまして、『気を高める』とは、様々な身体の各機能を高めたり代謝を上げることで、下記のような『気の性質』である

   ◇暖かさ(温煦作用

   ◇機敏な動き(推動作用

   ◇臓器に合った成分に変化させる働き(気化作用

   ◇血液中の血小板(固摂作用

   ◇血液中の白血球などの免疫系(防衛作用

が現代医学に相当することになります。

  このように、現代では分かりづらい『気』という目には見えないモノなど、『生理学』という現代医学のツールを利用することにより、鍼灸治療が、一般の方々に受け入れやすい環境になると考えています。

『鍼(はり)』や『お灸』は、効くの?≪現代医学と鍼灸の治療目的の違い≫

鍼灸の治療を体験されていないかなり多くの方々が、『鍼(はり)やお灸は、本当に病気に効くのか?』と、疑問に思われています。

結論として、厳密には、現代医学にしても東洋医学にしても、『病気を治す』という考えは、間違いになります。

患者の身体を治すのは、患者自身の再生能力や免疫力などの『生命力』になります。現代医学、東洋医学は、あくまでも『身体を治す手助けを行う医術』です。

 

では、『現代医学と鍼灸(はり・お灸)の治療目的の違い』を、具体例として『痛みの治療』をあげて、ご説明致します。

現代医学の治療方法は、一般に、臓器・器官・組織などの『物理的なモノに変化を与える』ことで、身体の改善を促します。

変化を与えるのは、内科的治療であれば『薬(くすり)など』、外科的治療であれば『手術や科学的(先端技術)治療など』です。

身体に痛みがあれば、内科的治療は、鎮痛薬により神経伝達物質を調整して、痛みを軽減させます。腫瘍などから来る痛みでは、手術などの外科的手術で、組織などの排除により、身体の回復を促します。

 

一方、鍼灸の治療方法は、身体の臓器・器官・組織などの『働き(動き)に変化を与える』ことで、身体の機能を促進させます。

具体的には、鍼(はり)やお灸(きゅう)の痛みや熱さを用い、身体の神経や皮膚などの組織に刺激を与え、『痛みの治療』であれば、人間の身体の中に存在する鎮痛物質を促し、あるいは、鍼やお灸の刺激で血管拡張を促して、組織の血流を上げて、痛みの軽減を行います。

また、鍼やお灸の作用で、自律神経副交感神経を高めることで、『免疫』、『ホルモン』、『自律神経』 の3要素のバランスの調整を促して、身体の回復に貢献できます。

冒頭の『鍼(はり)』や『お灸』は、効くの?については、身体の状態(発症してからの経緯の長さ)や症状の強さによりますが、身体を改善させる方法として、効果はあります。

 

更に鍼灸は、東洋医学の観点から、予防医学として、大変有効な手段でもあります。

東洋医学では、病気の原因は、『内因(過度の感情)』、『外因(過度の気候条件)』、『不内外因(内因でも外因でもない食事や労働、運動、外傷など)』の3要素からと考えます。

この3要素を改善や予防をすることで、病気になりにくい身体に変化することが出来ます。

また、東洋医学では、病気の性質は、大きく『標(ひょう)=現在の症状』『本(ほん)=標の根本的な原因』の2つに分類できます。

現代医学は主に、『標』の治療になります。

東洋医学では、『標』と『本』の治療を行うことが出来ます。そのためには、問診などの四診(望診・聞診・問診・切診)を十分に行う必要があります。

 

一般に『肩こり』と呼ばれる症状は、鍼灸治療の前と後では、明らかに変化が改善していることを感じ取れる事ができる疾患の一つです。

一度は、鍼灸治療の体験をして頂くと、これからのご本人の健康管理の改善方法の選択肢の一つとして、増えることになるでしょう。

 

【お詫びとご理解】電話受付について

当治療院の方針で、診療中は、電話受付よりも、患者様の治療を優先するスタイルをとっています。

 

従いまして、下記の点から、施術中の電話受付は、直接の電話対応でなく、留守番電話にしております。

 

①患者様との直接の電話での対応は、時には、長時間を要する場合があり、施術中での治療の流れに支障が出ます。

②お灸を使用した治療を行っていますので、火傷のリスクが大きくなります。

③施術中の中断は、患者様の不快な感情を高め、身体の改善が優位になる副交感神経が抑制され、逆に活動的な状態の交感神経が高まり、患者様にストレスを与え、治療効果を半減させます。

④患者様が希望される治療終了時間の遅延を生じさせます。

 

初めてご連絡してくださる方には、大変申し訳ありませんが、何卒、ご理解の程、よろしくお願い致します。

尚、2回目以降の受付は、治療後に次回の予約、またはメールなどにより、ご連絡を承っております。

 

★鍼灸を知って頂くための啓蒙(ケイモウ)活動 期間限定! 効果が無ければ返金制度(施術料実質0円)を実施

 巷(ちまた)では、マッサージの経験している方は多くいらっしゃいますが、『はり(鍼)』、『お灸(きゅう)』、『鍼灸(しんきゅう)』などの体験がある方、あるいはご存じの方は、はっきり言って少ないです。

 『はり(鍼)は痛い!(>_<)』、『お灸は熱い!(>_<)』と感じている方は多いと思いますが、初めて『はり(鍼)』や『お灸』を体験してるすべての患者様を通して、『現在の苦痛な症状』よりも決して思った以上に苦痛は感じていないと、実感しています。

 現在ご利用されている『マッサージ』だけの治療効果と、『はり』、『お灸』の治療効果を比較して、どの程度効果の違いがあるのかを体験することで、今後の快適な生活への手助けになるかと思います。

ということで、『はり治療』や『お灸』を知って頂く目的とする啓蒙活動の一環で、期間限定で、返金制度を行なっています。

返金制度実施期間は、来院人数の状況をみて、判断させて頂きます。

尚、当院のご都合により返金制度の一時中止の場合は、ホームページのトップページに、『返金制度一時中止』の掲示を致しますので、ご了承願います。

詳しくは、下記をご覧ください。

 

 

◇対象症状(疾患)

 ⇒肩こり』限定

※『肩こり』は、施術前のアドバイスにより、腰痛などに比べ、身体の体重などの影響が少なく、日常生活を変えることで、より改善に導くことが出来ます。

症状が重い方、あるいは、長く患っている方、短期的(1週間の数回)に治療を繰り返している方は、治療だけでは『治療で症状が改善した状態を維持させる』ことは出来ません。

「階段の上り下り」に例えると『鍼灸治療』は、2段あるいは数段、一気に症状を解消させますが、患者様自身の治す力(治癒力)の低下や、生活環境による身体に受けるストレスの影響で、上った階段を下りるように、症状(病状)を元の状態へ悪化させます。

症状の原因である生活スタイルの改善が、治療後の患者様の症状軽減に、とても重要になります。

 

◇対象者

⇒ 初回の治療者のみ

 

 

◇料金

通常、『鍼灸治療のみ』、初診料1,500円、施術料3,000円

⇒※但し、肩こりの治療が、施術直後、「全く効いていなかった」、あるいは

「症状の改善の変化が感じられない」

場合は、初診料1,500円のみで、施術料実質0円とさせて頂きます。

 

ご自分の身を守るために、治療手段の選択肢が増えることは、とても大切なことと考えます。

 

 

お灸の効果

 患者さまから、初診時に『この本に書かれているツボは、自分でお灸をする場合には効きますか?』という質問があります。この問いには、何とも言えないのが、正直の感想です。

 というのは、『書籍やインターネットなどに掲載されている一般の方々向けのツボ』は、現代の方々に分かりやすいように、多くは、現代の病名に対応して書かれています。あるいは、鍼灸でいわゆる『特効穴』と言われるツボがあげられています。

 しかし、本来ツボは、『弁証』などの東洋医学の診断方法で患者さまの身体を診て、どの『ツボ』がこの患者さまに最適なのかを選択すべきものと考えます。あくまでも、現代の病名は、現代医療(西洋医学)に適応した診断となります。

 現代医学の治療の大半は、病気になって効果が発揮する治療方法になります。つまり、ある基準や複数の条件を満たさなければ効果がないことになります。

 一方、病気になっていることが治療基準とする現代医学とは異なり、東洋医学は、健康を基準に考えていますので、病気になっての治療のみならず、現代医学の病気の状態になる前の状態『未病』の改善(=予防医学)にも適応します。

 ところで、東洋医学には、『標(ひょう)』と『本(ほん)』という言葉があります。『標』とは、表面に出ている症状であり、『本』とは病気の原因の本質を言います。特に、慢性的な病気や症状は、『本』の治療が必要になります。

 従いまして、はじめに述べました『この本に書かれているツボは、自分でお灸をする場合には効きますか?』についての回答は、『標』のような対症療法には効果があるかもしれませんが、全ての人に効果があるとは限りません。特に慢性的な冷えなどの症状の改善の治療には、『弁証』などの東洋医学的診断方法などを用いて、病気の原因を判断することも大切になります。

 また、ご自宅でのお灸の効果を上げるには、数回の問診などを行ない、『弁証』という診断方法による東洋医学に精通されている医師や鍼灸師からのアドバイスが重要になります。

 更に、ご自宅でお灸をすえる場合は、第三者にして頂くことが、より効果が上がると考えます。

 身体を修復するのは、活動している時よりも安静している時の方が高いからです。活動して覚醒している時は、自律神経の交感神経が優位になっています。一方、自律神経の副交感神経が優位の時が、身体の回復には最適の状態です。

 しかし、自分自身で行なうお灸(セルフお灸)は、第三者からお灸をやって頂くお灸よりも交感神経が優位に働いている状態です。より身体の改善を考えるならば、第三者からやって頂くお灸のほうが、副交感神経が優位になり、改善の効果を上げることになります

 昭和のお灸の名人『深谷伊三郎』先生は、『経穴(ツボ)は効くものではなく、効かせるもの』という名言を残されています。この意味は、効果のあるツボを選び、そのツボに適度な刺激を与えることが大切であることを述べています。

 ご自宅でお灸をすえる場合は、自分の身体の状態を、客観的に知ることが、より効果を上げる秘訣になります。

 

お灸やハリ(鍼)は、今の私自身(患者)に効くの??/治療適応の判断

『お灸(きゅう)』や『ハリ(鍼)』は、現代医学のような病院の治療から見ると、『こんなモノで効くの?』あるいは『こんなモノで効くわけない!』と思われています。

 

実際、患者さんご自身で、体験して頂くことが上記の回答になります。

 

では、どのような病名や症状に効果があるのかというと、現代医学で分類すると

◇内科

◇外科

◇整形外科

◇その他

になり、病気全般に効果があります。

ただし、『お灸』や『ハリ(鍼)』の特性が、反映される症状や疾患にしか、著明な改善が見られません。

 

 

では、お灸や鍼の特性を以下に明記します。

 

お灸

・ヨモギから生成された物➡もぐさ(艾)

・艾の燃焼を利用し、皮膚からの熱により、感覚神経(熱覚)を伝導し、身体に刺激を与え、身体への変化を促す

・皮膚に接触しないお灸➡間接灸(温熱灸)心地よい感覚のお灸

・皮膚に接触するお灸➡直接灸

お灸による局所的な強い熱さの痛みは、鍼と同じ感覚神経を伝導するため、鍼と同じ効果を出せることが出来る

≪『お灸』の働きと似ている日常生活からの一例≫

火傷(やけど)

⇒皮膚からの熱感覚により、感覚神経を伝導し、自律神経系に働きかけ身体の改善を促す

⇒皮膚などの組織損傷により、血液の免疫系を作動し、身体の組織の改善を促す

 

◆ハリ(鍼)

・髪の毛より細い~縫い針程度の太さのステンレス製が主流

・感染防止目的に、ディスポーザブル(使い捨て)が一般的に使用

・皮膚からの鍼の痛みにより、感覚神経(痛覚)を伝導し、身体に刺激を与え、身体への変化を促す

≪『鍼』の働きと似ている日常生活からの一例≫

打ち身

⇒身体を打ち付けた痛みにより、感覚神経(痛覚)を伝導し、自律神経系に働きかけ身体の改善を促す

⇒皮膚などの組織損傷により、血液の免疫系を作動し、身体の組織の改善を促す

 

つまり、上記の日常生活からの各々の一例からも分かるように、『お灸』あるいは『を使用することで、身体の『自律神経や運動神経などの神経系』、自律神経に関わる『内分泌(ホルモン)系』及び血液などの『免疫系』に刺激を与え、意図的に身体の改善を促すことが出来ます。

 

しかし、上記のようなメリットもありますが、デメリットもあります

 

意図的に身体に変化を与え、身体の修復を行わせるので、身体への負担が掛かって、身体のだるさやめまいなどの身体の不調を出すことがあります。

風邪などで高熱を出した後、身体を修復するために、身体のエネルギーが普段の生活よりも消費され、不快な症状が出ることと同じ状態と考えて頂くとよいと思います。

そして、症状の重さ、患っている期間、患者自身の体質の違い、患者自身による生活環境の違いなどが、大きく関わってきます。

しかし、このような施術後の身体への負担は、症状の強さの減少、または早期の治療や治療回数で、軽減できます。

 

以上のことから、『お灸』・『鍼』は、身体の『免疫系』・『神経系』・『ホルモン系』に関わる病名や症状の改善の手段になります。

 

『お灸』や『鍼』をご利用することで、皆様の現在の身体のケアの手段の選択の一つとしてお役に立てるかと思います。

 

 

 

 

 

 

 

ガングリオンの治療効果

  ガングリオンとは、主に関節周辺に発症しやすい良性の腫瘤のデキモノです。

 関節には、関節の間に関節包というものがあり、その中に関節の潤滑液となる滑液により、関節が滑らかに働きます。

現代医学の病理所見では、腫瘤の中は、ゼリー状の滑液が入っています。 原因は、滑液の産生異常ともいわれていますが、実際には、まだよく解かっていないようです。

 東洋医学的診断では、気滞血瘀と考えます。いわゆる、身体の代謝(血液や体液など働き)の衰えによることが原因になります。

 気滞血瘀の日常の原因としては、身体の冷え、打撲や外傷、過労などがあげられます。

当鍼灸治療院では、 

                 『標(ヒョウ)治』として、腫瘤の部分に『鍼(はり)』や『お灸』による治療

      『本(ホン)治』として、身体の冷えや疲労の予防改善を目的とした施術

を行ないます。

 ガングリオンの1回の施術の結果による

『治療前』 と 『治療後(6日後)』の画像を、

当治療院のホームページのトップページの【治療効果(画面の上の右端)】に掲載しています。

 この病気は、再発が多いということのようですが、『本(ホン)』とする冷えや疲労などの日常的な原因の改善が、再発予防につながると考えます。

 

これからの冷房による冷え性対策(No.1) /メカニズム

次第に、暑さが高まりつつあります。

冷え性の方々には、冬場とはまた違った辛い季節になってきました。

 

『冷え性の方』の真夏のエアコン(冷房)による『冷え性』対策は、冷えを強く感じて本格的に行いますが、実は、今の時期から行わないと、『冷房』の影響を強く受けてから予防を行なっても、なかなか改善しにくいです。

というのは、『慢性の冷え性』に悩まされている方は、体温調整の機能が一般の方よりかなり低下した状態で、尚且つ、エアコンなどの外部からの『強い冷気』を上回る回復能力(自然治癒力)がないために、『冷え性の改善』が期待できません。

 

以上のことにより、冷え性』を強く感じる前から、治療や予防の対処が必要になるわけです

 

冬場の『冷え』は、外出する際は、重ね着など着込むことで、身体全体を冷えから守ることが出来ました。

しかし、初夏から夏に向けての冷房による『冷え』は、下記の点で大きな違いがあります。

☃冬⇒室内≪暖≫・屋外≪冷≫

⇒室内≪冷≫・屋外≪暑≫

人それぞれで、温度の感じ方は異なっています。

冬の場合は、寒さに対しては、暑がりの方、『冷え性』の方と同様に、適度の暖かさを好みます。

しかし、夏の季節において、暑がりの方は、『冷え性』の方よりも、非常に強い『冷え』を好みます。

そして、暑がりの方は、更に、室内の温度を下げて、『冷え性の方の症状』を悪化させます。

 

この様に、集団生活を送る中では『冷え性』の方が、夏場に人それぞれで感じる温度の格差により、『冷え』に悩まされます。

 

 

では、東洋医学の『陰陽学説』と病気の原因とする病因の『外因』を基に、現代医学も取り入れてご説明致します。

『陰陽学説』とは、簡単に言うと、相反するモノがお互いに調和することになります。

 

『陰陽学説』では、『暑い(温める)』は『陽』『寒い(冷やす)』は『陰』に分類し『陰』と『陽』のバランスが取れている状態を『平』とします。

また、この『平』の状態を、人間の身体が良好にバランスが取れている状態であると考えます。

 

ところで、これら(『暑い(温める)』と『寒い』(冷やす))は、反対の性質を持ちますが、身体が『暑い(陽)』と感じると、身体を『冷やす(陰)』ために汗をかき、身体を冷やす機能が働きます。

すなわち、『陽』という性質の『暑さ』が強まることを、一定の状態(『平』)抑制させるために、『汗をかく』という動作を行い、『冷やす』という『陰』の作用を強めることで、健康状態を保とう(『平』)とします。

この様に、『陽(温める)』と『陰(冷やす)』は相反性質ですが、お互いを強弱することでバランスを保ち、身体を『陰陽の作用』で維持しています

 

 

現代医学では、このようなことを『ホメオスタシス(恒常性)』と呼び、上記のような体温調整を行うのが、『自律神経(交感神経・副交感神経)』などになります。

 

ちなみに、『汗』は陰陽学説では『陰』に属します。

 

つまり、上記の仕組みで示したように、夏の『冷房による冷え』と冬の『外気温による冷え』の対策は、外因』である『冷え』を解消することであり、東洋医学では『陰陽のバランス』、現代医学では『自律神経』を、上手く調整することが、『冷え性』の改善になります。

特に、夏の冷房による冷えは、冬場の冷えに加えて、室内と屋外の気温の格差が増大し、『自律神経』を大きく乱し、色々な症状を発症させます。

更に、湿度の高い梅雨の冷房も、『慢性の冷え性』の増悪し、『自律神経の乱れ』や『むくみ』を促進させてしまいます。

 

これからの冷房による冷え性対策(No.2) /治療方針

一般に、冷え性の方々が行っている『冷え性予防・解消』は、靴下や手袋などで身体を覆(おお)って、身体の中の熱を逃がさない、あるいは、外部の『冷気』から身体を防ぐ方法です。

 

しかし、この方法だけでは、おそらく慢性的な『冷え性』は、解消できないでしょう。

 

東洋医学で、病気に種類には、『標(症状)』と『本(症状の原因)』の2つに分類出来ます。

(※『標』と『本』については、ブログ『東洋医学とは・・・』をご覧下さい。)

 

前回のブログ『これからの冷房による冷え性対策(No.1)』でご説明したように、冒頭の『冷え性対策』では、『慢性的な冷え性』は、解消されません。

というのは、『標(症状)』という『冷え性』は、身体の異常が生じた結果、身体の表面に現れた現象です。

 

つまり、身体の異常とは、身体の内部の『陰(冷やす作用)』と『陽(温める作用)』のバランスが崩れ、現代医学で呼ばれる『自律神経のコントロール』の制御異常です。

『慢性的に冷え性』を解消、改善するためには、前回のブログ『これからの冷房による冷え性対策(No.1)』でご説明したように、『標(冷え性)』という表面的な症状と、『本(自律神経)』によって『標(冷え性)』の症状を発症させている本質の原因を同時に治療、あるいは生活改善を行うことが不可欠になります。

ご自身で、『冷え性の改善』を行うポイントは、

身体を温める作用を強くする(運動・食事など生活改善)

身体の体温調整を行う『自律神経』を正常な状態に戻す(肉体的及び精神的ストレスの解消)

を2つ同時に行うことです。

 

 

これからの冷房による冷え性対策(No.3) /治療法

前回のブログ『これからの冷房による冷え性対策(No.2)』では、『慢性的な冷え性』の改善・解消方法は、『(現在発症している症状)』の『冷え』と、『(症状を起こしている原因の大元)』の『自律神経(『陰陽の調整』)』を同時に、治療と生活改善が不可欠と述べました。

 

鍼灸治療では、冷房での『冷え』は、病気の原因となる外因(※1)の『寒』により、身体を温める作用(=温煦(おんく)作用)の低下を生じさせていると考えます。

 

(※1)時代の変化による変わりつつある外因

⇒本来、自然界の気候の変化(風・湿・暑・寒・燥・火)からの外感を病気の原因としますが、近年の技術の発展で作り出されたエアコンの普及で、数千年前からの情報の蓄積による東洋医学の考え方において、自然界の要素から人工的要素に外感が変化してきています。

 

 

当治療院での『冷え』に対する鍼灸治療の方法は、冷えを感じている手足などの末梢の部位および腹部・肩背部・腰部などの『標』に対する治療『標治』と、身体の深部の『陰陽の調整(現代医学に置き換えれば自律神経の調整)』とする『本』の治療『本治』を行います。

『本治』の具体的内容は、『陰の要素』である『血(≒血液)』及び『津液(身体の中に存在する体液やリンパ液などの液体)』『陽の要素』である『気』(※2)の調整になります。

(※2)『気』については、ブログ『『気』とは?』をご覧下さい。

 

また、身体を温めるためのお灸『温灸(棒灸)』を用いて心地よい暖かさを与え体温調整の治療を行います

 

鍼(はり)とお灸には、皮膚などの組織器官に一定の刺激を与えて、『自律神経』や『血管』などの働きを調整する作用があります。

 

 

尚、一般の方(お灸の未経験者の方)には、お灸はとても熱いものだと感じていらっしゃいますが、お灸には心地よいお灸もありますので、インターネットの動画にて、『温灸 棒灸 使い方』などの文言で検索してご覧なると、鍼灸治用への抵抗感が薄れて、病気に対してのご本人の治療の選択肢が広がると考えます。

 

生活改善では、外部からの『冷気』を防ぐことはもちろんのこと、病気の原因とする『病因』のうちの『不内外因』でもある『睡眠・バランスの良い食事・ストレスの解消・喫煙・飲酒など』に注意を払うことが、症状の解消・改善につながります。

 

『慢性の冷え性』は、肩こりや腰痛などに比べて、改善へ至るまでに、時間が掛かります。

『鍼(はり)』と『お灸』を用いて、定期的な治療を行うと、患者様ご自身で身体を温める作用(温煦作用)が強くなり、『冷え性に対する不快感』が、かなり改善出来ます。

ご自身の冷え性が、職場のなどの環境をよって引き起こされ、尚且つ、改善出来ない場合は、特に早期の治療および生活改善が、とても重要です。